入管法改正と運送業ドライバー不足|外国人ドライバー

外国人労働者

数々の業種で人手不足が叫ばれる昨今だが、かくいう我らが運送業界も、慢性的に人手不足に頭を悩ませている。その中でも若手不足は特に深刻な問題かもしれない。
現在、運送業に携わる労働者のうち、40歳未満は3割を切っている状況だ。2015年のデータになるが、労働者全体の、20~39歳と40~59歳の人口を比べたとき、前者が45%で後者は54%。いうまでもなく30%未満という数字は平均を大きく下回っている。人手不足だし若手不足。ネット通販の拡大も相まって、需要は年々高まっているにも関わらず、この体たらく・・・
若者を取り込むべく「俺の働く運送業がこんなにこんなにキツいはずがない!(仮題)」通称「運がない!」のアニメ化プロジェクトを提言すべきか考えもしたが、タイトルに若者向け萌え要素を見出だすことができず、ただ単にキツいだけのイメージ戦略になりかねないので、今回は見送ることにする。

入管法改正と運送業

しきりと話題になっている入管法の改正。外国人労働者を受け入れることで、運送業の人手不足は解消できるかどうか考えてみた。
そもそも今回の入管規制法改正とは何なのか。入管規制法は施行当時、単なる政令だったので、本来国会で審議するものではない。だが当時の条文に「法律としての効力を有する」と定められ、法令のまま法律として扱われて今に至る。そのため本国会でも議論の対象となっているわけだが、このことは運送業と全く関わりのない、ただの豆知識である。
とにかく従来の趣旨として「特定技能」を持つ者のみが、日本で働くことができる外国人であったということ。今回の改正では「特定技能」の解釈が広げられることになった。就労ビザの要件が緩和され、外国人が日本で働きやすい法的基盤ができることになる。
細かな内容については、法令として内閣が決めていくことになるが、人手不足が深刻な「建設」「介護」が盛り込まれると予想されている。また「特定技能」には1号と2号があり、前者は日常会話と一定の技能があれば最長で5年が認められ、後者は高度な認定基準が設定され、最長で10年、更には配偶者や子供の帯同も認められるという。
紛糾する国会の是非はともかく、今回の法改正で、運送業のドライバー不足は解消の糸口は見付かるのだろうか。

様々な問題点

コンビニや飲食店で働く外国人は都内では多く目にする。しかし本来は、就労ビザだとこのような職種で働くことはできない。単純労働は就労ビザの対象にならないという理由があるからなのだが、この話を深掘りすると入管の暗部が見えてくるのでやめだ。
それでは運送業に目を向けてみる。とにかくタクシーでもトラックでも宅配でも引っ越しでもいい。ドライバーとして外国人が働いている姿を見たことがある人間が、果たしてどれくらいいるだろう。タクシーで見かける可能性はあるかもしれないが、ほとんど見かけることがないのに理由がある。ドライバーとして外国人が日本で働くには、いくつかの高いハードルがあるのだ。
運送
1つ目のハードルというか何というか、根本的に運送業で働くためのビザが、現時点で用意されていない。今回の改正で認められる可能性もなくもないだろうが、そんな話は今のところ聞いていない。ゆえに外国人ドライバーを見かける機会は必然的に少なくなるのだ。

2つ目のハードルが運転免許証。本来、日本での在留資格がある外国人であれば、誰でも取得することができる。頑張れば来日数ヶ月で普通免許を取得することも可能だろう。しかし普通免許では5t未満しか運転することができない。中大型免許を取得するには一定の経験値が必要なのである。中型免許で2年、大型免許では3年経過していないと取得することが出来ないので、運送業のドライバーとしては些か問題になってしまう。

3つ目のハードル。上2つのハードルを現行法でクリアするために、ここに留学生Aが留学ビザを取得して来日したと仮定しよう。留学生Aは、ジャパニーズ運送業に多大な感銘を受け、ドライバーとしてアルバイトすることを目指すべく普通免許を迅速に取得。それから3年後、留学生Aは大型免許も一発でクリア!晴れて大型トラックのドライバーとしてアルバイトできるようになった。やった!リスペクトする運送業で働けることを咽び喜んだ留学生Aだったが、よくよく考えると大した時間を働くことが出来ないことに、今更ながら気付いてしまった。そもそも留学ビザだと、1週間の労働時間が28時間以下と定められている。たとえ1日の労働が7時間のウルトラホワイトな運送会社だったとしても、週にたったの4日勤務しかできないことになる。これではよほど留学生Aを気に入らない限り、企業側が積極的採用に至る可能性は低いと言わざるを得ないだろう。

第4のハードル。改めていうまでもないが、日本語の難しさを挙げることができる。日本に長く住んでいたとしても、漢字まで読み書き出来る外国人が一体どれほどいるだろう。今回の場合、書けないのは無視したとしよう。では、読めないことで何が問題になるのか?答えは「標識が読めないので目的地に到着できない」ことにある。今はナビがあるので、多少の解決を図ることはできるかもしれない。しかし高速道路も一般道も、標識を一切見ずに目的地に到着することが困難なのは言うまでもない。仮に日本人の熟練ドライバーだとしても、行ったことがない場所に行くのは相当に難しいはずだ。

第5のハードルとして・・・。もうキリがないのでここでヤメる。

結論

兎にも角にも、外国人ドライバーの実現が難しいであろうことは分かってもらえたと思う。運送業は交通事故、安全性の確保、繊細な荷物の取り扱いなど、単純労働と定義されているものの、一朝一夕で攻略することができない職種であり、今回の入管法改正で人材確保には至らないという考えが大勢を占めているようだ。

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