10月1日。目前に迫る軽減税率。

国税

2019年10月から消費税が8%→10%となる。

そもそも軽減税率てなに?

そもそも軽減税率とは何なのか。
商品全ての消費税が10%になった場合、所得が少ない人ほど、生活にかかる負担が重くなる。日本国憲法では第25条で「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とする、いわゆる生存権を国家が国民に対して保障せねばならない。
人が生活を営む3か条ともいうべき「衣食住」のうち、「住」はそもそも非課税(※事務所店舗は除く)であるし、「衣」は安いものがいくらでもあるため節約が可能。しかし「食」を節約するには限界がある。
低所得者層ほど食費の割合が収入に対して大きくなりやすいため、その緩和をはかる措置が軽減税率だ。いわば低所得者層の救済措置としての役割を期待しているのだ。

軽減税率の対象品目

国税庁によると、軽減税率の対象は下記とあり、消費税は8%に据え置かれる予定だ。

  • 酒類・外食を除く飲食料品
  • 週2回以上発行される新聞( 定期購読契約に基づくもの)

なぜか、いきなり新聞がでてきたわけだが。
軽減税率導入の目的が「低所得者の救済措置」だけではなかったのだろうか。いやいや、むしろその目的一つのために、複雑な税制を導入するのは如何なものかと考えなくもない。だが、なぜ新聞だけが軽減税率の対象となったのか。「思索のための食料や栄養源」といった考え方が従来からあって、その負担を減らすためとするならば、なぜ似たような思想を持った、雑誌・書籍・公共放送は対象とならなかったのか。
日本新聞協会によると「日本でも軽減税率が導入された場合、生活必需品と同様に新聞や書籍も対象とすべき」というアンケートを実施したところ、半数近い賛成を得たと発表しているが、「日本でも・・・云々」「生活必需品」のくだりには、若干作為的な設問の意志を感じなくもない。「新聞は庶民にとっての生活必需品だから軽減税率の対象となるのは当然だ」と設問していれば、違う結果になったのではないだろうか。
ただし欧州では新聞に対する軽減税率は定着していて、なんと0%非課税としている国がイギリス・ベルギーなど4カ国あるので「新聞だけが・・・」という疑問をもつよりも、日本新聞協会による積極的なPRが奏功しただけと考えるほうが、よほど生産的な時間の使い方だともいえる。

軽減税率対象となる飲食料品

軽減税率

飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除きます。)をいい、一定の要件を満たす一体資産を含みます。外食やケータリング等は、軽減税率の対象品目には含まれません。
~国税庁より~

食品表示法に規定する「食品」とは、全ての飲食物を意味するので明白だ。逆にいうとペットフードや家畜の飼料は対象とならない。
次に酒類と外食だが。
酒類については、アルコール分が1度以上で、酒税法上の酒類に分類されるものと明文化されている。よって、みりん調味料や料理酒なども対象外で10%。みりん風調味料やノンアルコールビールは1%未満なので8%となる。これも明白である。

外食やケータリング等は、軽減税率の対象品目には含まず
  • 外食とは飲食店業等、食事の提供を行う事業者が、テーブル・椅子等の飲食に用いられる設備(飲食設備)がある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供
  • ケータリングとは相手方が指定した場所において行う役務を伴う飲食料品の提供

共通していえることは、飲食設備があるか否か、役務(=サービス)があるか否かでわけることができるようである。
店舗によってはイートインなどの飲食設備があって、その場で飲食すれば10%、持って帰れば8%。ファーストフードも店内で食べれば10%、テイクアウトすれば8%。また出前も8%になる。
さて、ここにきてコンビニ業界では、イートインは「飲食設備での役務の提供」ではなく単なる「休憩設備」とし、基本店内で飲食するのではなく、持ち帰ることを想定した接客をすることで、飲食料品8%での販売を決定し、財務省にその方針を伝えたとしている。もともと「消費税還元セール!!」など、消費税と直接関連したスタイルの宣伝は禁止されている(そもそも消費税は事業者が全額払っているので還元?の表現がやや微妙)ので、役務の提供自体を否定しているわけだが、ファーストフードなど外食産業からの反発が強まる可能性があるとのことだ。

軽減税率についての議論

軽減税率については、様々な議論が活発になってきた。
軽減税率導入の目的が低所得者層救済のためと一義的にあるならば、高所得者ほどより恩恵を大きく受けることができる現システムでは、適切な効果が得られないのではないか。これについては、同様の質問書が参議院からも提出されているだけでなく、経済協力開発機構(OECD)も同意見であり、同機構はさらなる欠点も指摘している。その欠点とは、制度の複雑化による不正機会の発生、設備人的投資などによる人的・物的コストの増加、などがある。
欧州で軽減税率は一般的だ。しかし、欧州で軽減税率が始まったのは、もともと酒・たばこ・食品など、すべて違う率で運用されていた税制を統一するためである。従来からある別々の税率と整合性を図るべく、軽減税率という手段を選択しただけで、行政手続き上の妥協に過ぎず「低所得者層救済」という目的さえなかったとされているが、これは少々極論だと考える。前段階としての「違う率で運用」していた時すでに、贅沢税的な考え方や低所得層救済目的の税というのもあったはずなのだ。
日本でも初めて消費税が導入された際には「物品税」が廃止されている。ゴルフ用品、自動車、毛皮製品など、贅沢品と考えられる物に異なった税率を課す制度だったが、管理が煩雑だったので消費税として一本化した経緯がある。
2019年10月1日、軽減税率として、贅沢税とは真逆の考え方で個別の税率が導入されるというのだから、今後どうなっていくのか注視したいところではある。

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