空き家問題の原因と対策

空家問題

国土交通省による「空家の現状と課題」によると、2013年時点で居住者のいない住宅は、住宅ストック数6060万戸のうち、853万戸にのぼり、うち空き家となっているものが820万戸に達していることが分かった。
空き家には、賃貸用、売却用、そのほか二次的住宅とされるセカンドハウスや別荘も含まれている。調査の結果、それら賃貸用・売却用・二次的住宅でもない「そのほかの住宅」となっている空家が2013年で318万戸となっており、20年前にあたる1983年には125万戸だったものがおよそ2.5倍にも増加していることが分かった。

空き家問題とは

国土交通省では空き家によって発生する問題をいくつか想定している。

  • 防災性の低下(倒壊、崩壊、屋根・外壁の落下、火災の恐れ)
  • 防犯性の低下
  • ごみの不法投棄
  • 衛生の悪化・悪臭(蚊・ハエ・ネズミ・野良猫)
  • 風景・景観の悪化

ほかにも、空き家の増加は不動産価値の下落を起こしうるという懸念もある。
空き家が増加することで、住宅の中古市場の価格崩壊が起きたときには、価格差による新築住宅の購買意欲が下がることが予想され、ひいては周辺にある土地家屋の価値にまで影響を及ぼしうるという考えがあり、不動産業界で危機感を募らせている者も多い。

空き家対策特別措置法

「空き家になってるから何とかしてくれ」という住民の声が上がったとしても、今まで役所などの行政では、対処することが出来なかった。空き家とはいえ個人の資産を、行政が一方的に取り壊すことはできないし、また、増え続ける空き家一つ一つ持ち主を調査していくのも現実的ではない。2013年時点で320万戸とあるのだ。1日100件調査したとしても90年近くかかってしまう。
こうした背景から、2014年「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家対策特別措置法)が成立する。
同法では、空き家の実態調査を行政が行うことを定め、特定空家に指定することができるとしている。特定空家に対しては、助言・指導・命令、などの行政処分することができ、それでも是正されない場合には、罰金や行政代執行を行うことができると定めている。
特定空家の判断については、一年間を通した出入りの有無や、水道・電気・ガスの使用状況のチェックすることができるとし、管理不全の空き家には敷地内への立ち入り調査や、住民票・戸籍・固定資産台帳などの個人情報を利用することができるとする、行政裁量による柔軟な対応を可能とするものだった。
これによって全国的な法整備は整いつつあり、以降の空き家対策は、地方自治体による取り組みに掛かっているともいえる。

なぜ空き家が増えるのか

まず空き家は最低限必要であるということに注意したい。
前述の賃貸用と売却用の空き家には、ある程度の余裕がないと、消費者の選択肢が少なくなってしまう恐れが生じるし、最悪を考えるなら、就学や就業が決まったとしても、近所に住むところがないということも起こりかねない。
従って、空き家は必要であるとともに無くなることはないし、近年の人口減少も相まって、空家は今後も増え続けるとも想定されている。
そのほか空き家が増加する具体的要因について考えてみたい

新築住宅の需要が高い
日本でマイホームを買ったという場合、中古住宅よりも新築住宅を購入するケースの方が圧倒的に多いだろう。そもそも全体の住宅供給量のうち、中古住宅は36.7%程度しかない。欧米では全くの逆、中古住宅が7~8割を占めており、日本における中古住宅の市場は未成熟だといわざるをえないだろう。
新築で購入したものの、仕事の都合や生活環境の変化などで、転居したのち売却も賃貸もされない物件が完全な空家となる。その結果として空き家増加の原因になっているのだと考えられている。

相続
いまや核家族は当たり前。以前は実家は長男が継ぐという考え方が大半だったが、現在では少数派となっている。相続の際、被相続人の住んでいた家の実質的な所有者がおらず、結果として中古住宅となるわけだが、前出のように市場規模は新築に比べて小さい。相続後、その被相続人の住居に住まうことなく空き家となってしまったケースだ。

固定資産税
固定資産税は法令で「土地に建物が建っていると土地の面積200㎡までの分について6分の1に減額される」とされている。そうなれば、所有者が空き家と認識していたとしても更地にすると固定資産税が6倍になるのだ。よくよく思い起こしてみると「ここに空き家があったのにいきなり新築が建った」となってしまうのは、このことが原因である可能性が高い。買い手が付くまで空き家にしておく方が、税制上の優遇措置を得ることができるというわけなのだ。
新築住宅

空き家問題に解決策はあるのか

空き家問題を考えた場合、空き家が放置されていること、空き家が増え続けていること、この二つが根源的な問題となっている。
放置された空き家については、空家対策特別措置法などで自治体が対処することもできるし、また近年では、中古住宅の取引も増加傾向にあるともされていて、具体的な対処もできつつあるといっていい。
一方、空き家が増え続けている現状について。中古住宅市場の拡大によって自ずと対策できる側面はあるものの、他に有効的な手段は見当たらない。人口も減少傾向にあるなか、それでも不動産売買を絶やすことはできない。なぜなら日本経済の柱の一つとして、不動産・建築業は欠かすことができない存在だ。人口の減少傾向にも関わらず、売買を盛んにしなくてはならないというジレンマを抱えている。いつか転換期を迎え日が来るかもしれないが、今のところ「神の見えざる手」需要と供給のバランサーが、積極的に働いている様子はないようである。

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